メーカー別ミラーレスカメラの比較
メーカー別ミラーレスカメラの特徴比較
デジカメを選ぶ点で重要なのは画質や重量など様々な観点がありますがここでは次のポイントに注目しながらメーカーごとのミラーレスカメラの特徴を探っていきたいと思います.
1.イメージセンサーサイズについて
ミラーレスのイメージセンサーサイズについてはこちら(ミラーレスカメラとイメージセンサー)で紹介していますが,最もセンサーサイズが大きいのはソニーNEXシリーズと富士フイルムXシリーズとキヤノンEOS MのAPS-Cサイズです.APS-Cサイズはデジタル一眼レフでも採用例が多いので,画質的にも一眼レフと同等のものが得られることが期待できます.
ソニー・富士フイルム・キヤノンに次いでイメージセンサーが大きいのはオリンパスとパナソニックのマイクロフォーサーズです.
また,イメージセンサー感度という点ではオリンパスが他社よりも全体的に高感度に強くなっています.
2.カメラの大きさ・重量について
ミラーレスカメラの中で最も小型なのは,なんといっても本体重量が200gを切っているペンタックスQシリーズです.ペンタックスQはイメージセンサーは小さめ,EVFは非搭載など,多機種に比べ性能的にはいまいちなところがありますが,その代わり携帯性はズバ抜けています.コンパクトカメラとほとんど同じ感覚で(むしろそれより小さい)持ち運ぶことができます.
200g以下の『軽い』ミラーレスカメラには,他にニコンのS1(197g)があります.
ミラーレスカメラの重量比較はこちら(ミラーレスカメラのスペック別総合比較)を参考にしてください.
ただし,一概に「軽ければ軽いほどよい」とは言えません.ある程度重さがあったほうがホールディングが安定しますし,ちょっとずっしりしているほうがカメラとして「持つ喜び」もあります.
3.交換レンズの充実度
交換レンズは多ければ多いほど撮影のバリエーションは広がります.ミラーレスの場合は一眼レフ用の交換レンズはそのままでは使えないので,基本的に専用レンズを使用することになります.交換レンズとしては同じマイクロフォーサーズ規格のオリンパスとパナソニックが比較的レンズの種類が多いです.オリンパスとパナソニックは互換性があるので相互にレンズを使うことも可能です.特にパナソニックは交換レンズの数が豊富です.
なお,一眼レフを出しているメーカー各社はミラーレスカメラに一眼レフ用レンズを取り付けるためのマウントアダプターを用意しています.マウントアダプターを用いれば使用できるレンズの幅はグッと広がります.ただし,マウントアダプターを介して一眼レフ用のレンズを取り付けると,全体として重くなってしまうので,せっかくのミラーレスカメラの携帯性が犠牲になってしまうので注意です.
4.操作性
操作性といっても様々ありますが,まずフレーミングのしやすさという点ではEVFがあるほうが便利です(EVFについてはこちら(ミラーレスカメラとEVF)を参照).なお富士X-Pro1はEVFと光学ファインダーを切り替えることができます.
また,オートフォーカスの使いやすさという点ではニコン1シリーズやキヤノンEOS M,ソニーの一部機種に軍配が上がります.
ミラーレスカメラでは通常「コントラストAF」というコンパクトカメラ等に用いられるAF方式を採用していますが,合焦速度は遅めです.一方,ニコン1シリーズやEOS M,ソニーの一部機種ではコントラストAFに加えて「位相差AF」も搭載しており状況によって使い分けるハイブリッド方式になっています.位相差AFは主に一眼レフに採用される方式で合焦速度が早いのが特徴です.
5.手ぶれ補正機能
写真の失敗には大きく3種類あります.それは「露出不適正」「ピンボケ」「ブレ」です.露出についてはAE性能の向上,ピンボケについてはAFの向上などが進んできましたが,ブレについては三脚を使う他には長らく対策がありませんでした.
近年では手ぶれ補正機能が飛躍的に向上しており,「手ぶれ補正機能の有無」はカメラを選ぶ際の重要なポイントとなります.手ぶれ補正には「レンズシフト式」と「イメージセンサーシフト式」の2種類があり,ほとんどのカメラではどちらかの手ぶれ補正機能を搭載しています.
「レンズシフト式」と「イメージセンサーシフト式」のメリット/デメリットは次の通りです.
レンズシフト式の場合
- ファインダーでブレが補正された映像を確認できる
- フィルムカメラでも使用できる
- 補正機能をレンズ毎に組み込む必要があるためレンズが大きくなる
- 単焦点レンズには採用されない場合が多い
イメージセンサーシフト式の場合
- レンズを問わず手ぶれ補正が利用可能
- 手ぶれ補正効果をファインダーで確認できない
- 確実な効果を得るためにはレンズごとに挙動を最適化する必要がある
せっかくミラーレスカメラを買うなら,レンズはぜひ単焦点を選びたいところです.このとき手ぶれ補正機能がレンズシフト式だと,単焦点レンズには手ぶれ補正機能がないことがほとんどなので,注意する必要があります.その点,イメージセンサーシフト式だとレンズを問わず手ぶれ補正可能です.手ぶれ補正にこだわるなら「イメージセンサーシフト式」を選ぶ方が無難です.イメージセンサーシフト式を採用しているのはオリンパスOM-D/ペンシリーズとペンタックスQシリーズです.特にオリンパスはマイクロフォーサーズ規格を採用しているため,使用できるレンズが豊富です.コシナのノクトン25mmF0.95のようなレンズでも手ぶれ補正が効くのは大変便利です.
なお手ぶれ補正機能を利用することで,通常撮影よりも2〜3段遅いシャッター速度での撮影が可能となります(ただしホールディング等の条件による).ミラーレスカメラの場合,各社の手ぶれ補正機能は次の通りです.
メーカー | 手ぶれ補正機能 | 備考 |
ニコン | レンズシフト式 | VRレンズにて使用可能 |
キヤノン | レンズシフト式 | ISレンズにて使用可能 |
オリンパス | イメージセンサーシフト式 | 全レンズにて使用可能 |
パナソニック | レンズシフト式 | MEGA O.I.S.レンズにて使用可能 |
ソニー | レンズシフト式 | OSSレンズにて使用可能 |
ペンタックス | イメージセンサーシフト式 | 全レンズにて使用可能 |
富士フイルム | レンズシフト式 | OISレンズにて使用可能 |
※ちなみにオリンパスとパナソニックにはレンズの互換性があります.ということはオリンパスにパナソニックのMEGA O.I.S.レンズを取り付ければ『レンズシフト式とイメージセンサーシフト式の両方が利用可能』という夢のような手ぶれ補正が実現できます!・・・と思いきや,レンズシフト式とイメージセンサーシフト式を併用することは,一説によると「互いに打ち消し合って意味がない」とも言われており,実際の効果の程は不明です.
6.デザイン性
カメラは「写真が撮れればよい」というものではありません.カメラを「持つ喜び」も重要な要素です.カメラのデザインの好みは人それぞれだと思うので,お好きなカメラを選べばよいかと思います.富士Xシリーズのようなちょっとクラシカルなデザインから,オリンパスOM-Dのような一眼レフっぽいデザインまで幅広くありますのでカメラの性能と合わせて総合的に判断したいところです.
なお,一眼レフカメラの「ボディー色」に関しては昔から「黒」が好まれてきました.カメラの中を覗いてみると分かりますが,カメラ内部は全面真っ黒です.これは光の反射を抑えるためですが,そういった意味から「黒」こそがカメラとしてあるべき色だと考えられてきたからです.また,ボディーが黒色だとスタジオ撮影等で反射しにくい,プレス用途で目立ちにくいなどの実用面からも黒色が選ばれたのです(こだわる人はさらにボディーやレンズの「Nikon」や「Canon」等のロゴも黒マジックで塗りつぶしました).昔のカメラはブラックボディーのほうがシルバーボディーよりも若干高額に設定されることも多かったです.
ミラーレスカメラでは「真っ黒」という設定がない機種もあります.最近はカラーバリエーションも豊富で,あえて黒を選ぶ理由はありませんが黒にはこういった「意味」があることだけでも知っておくのもいいかもしれません.
7.まとめ
以上を簡単にまとめると次の通りです.
・イメージセンサーサイズで選ぶなら | → | ソニー |
・ISO感度(高感度)で選ぶなら | → | オリンパス |
・大きさ(軽さ)で選ぶなら | → | ペンタックス |
・交換レンズの多さで選ぶなら | → | パナソニック |
・AF性能で選ぶなら | → | ニコン |
・手ぶれ補正機能で選ぶなら | → | オリンパス |
ここではそれぞれの項目別に1社だけピックアップしていますが,各社にはそれぞれに強みがあるのでトータルバランスでお好みのミラーレスカメラを見つけてください.
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