撮影サイズ(センサーサイズ)と標準レンズ
標準レンズとは?
「広角」や「望遠」の基準となるレンズが標準レンズです.35mm判(24mm×36mm)の場合は標準レンズは「50mm」です.
50mmが標準レンズとされるのは,人間の視界と50mmレンズの画角に近いためであると言われています.ただ,標準レンズの考え方として,撮影画面の対角線長さを標準とする,という考え方もあります.この考え方は中判以上でよく用いられます.対角線長さで考えると35mm判の場合は43.3mmとなり,50mmよりも広角になります.現にペンタックスなどは43mmレンズも標準レンズとして発売しています.
撮影サイズによる画角の違い
同じ焦点距離のレンズでも,撮影画面サイズ(センサーサイズ)によって,広角になったり望遠になったりします.例えば35mmと6×7では同じ焦点距離のレンズで撮影すると,次のような違いが出てきます.
6×7 | 35mm |
写っている被写体の大きさは同じですが,6×7のほうが写る範囲が広いため35mm判に比べて相対的に広角となります.
対角線長さで考えると,35mm判では43mmレンズが標準となりますが,6×7では90mmレンズが標準となります.
このことはデジタルカメラの場合でも同じです.例えばセンサーサイズが「35mmフルサイズ」の場合と,「APS-Cサイズ」においても同じことが言えます.35mmフルサイズの場合は対角線長さは43.3mm,APS-Cサイズでは28.7mm(メーカーにより若干異なる)なので,35mmフルサイズにおける43mmレンズとAPS-Cサイズにおける28mmレンズではほぼ同じ画角になる,つまりほぼ同じ写真になると言えます.この場合APS-Cサイズ用の28mmレンズは「35mm換算で43mm相当」と呼びます.このような「35mmに換算すると●●mm」というのを「35mm換算焦点距離」と言い,カタログ等にもこの数値が表示されていることが多いです.
なぜ35mmに換算するかというと,35mm判が世界的に普及しており歴史も長いためです.35mm判でのレンズの焦点距離感覚が染み付いている人は他のフォーマットのレンズを選ぶときに「このレンズの焦点距離は35mm判だといくらに相当するか」を考えます.このとき35mm換算焦点距離を表示してくれていると,いちいち計算する手間が省けるのです.
ただ,35mm換算で同じ焦点距離のレンズを使って撮影しても,まったく同じ写真にはなりません.なぜなら焦点距離が異なると被写界深度が違ってくるからです.フィルムでいうと35mm判の43mmと6×7の90mmでは「写る範囲」は同じですが,同じ絞り値の場合35mm判のほうが被写界深度が深くなります.デジタルでも同じで,同じ画角のレンズの場合35mmフルサイズに比べてAPS-Cサイズのほうが被写界深度が深くなります.
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