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最も焦点距離の長いレンズを探る



最強の超望遠レンズを探す


望遠レンズと言えば野球場やオリンピック会場などでカメラマンが使っている大きなレンズが想像されると思います.そういった望遠レンズでも焦点距離は大体800mm前後だと思われますが,カメラ好きとして気になるのはやはり「最も焦点距離の長いレンズは何mmなのか?」ということではないでしょうか.最近では望遠ズームレンズも多種あるので,300mm位の望遠レンズを持っている方も多いと思います.しかし,世の中にはもっとすごい望遠レンズがあるはずです.


というわけで,ここでは過去・現在を問わず,カメラ用の「最も焦点距離の長い」レンズを探してみることにしました.


まずは現在カメラメーカー・レンズメーカーが出している交換レンズの中で特徴的な望遠レンズを見てみましょう.



やはりニコンやキヤノンなどの老舗メーカーは超望遠レンズのラインナップも充実しています.俗に「ニコンの黒レンズ,キヤノンの白レンズ」みたいに言われますが,スポーツの現場で活躍する望遠レンズはキヤノンが多いように感じます.そんなキヤノンにはかつて受注生産の「EF1200mm F5.6L USM」という1200mmの超望遠レンズがありましたが,重量は16.5kgもあり,定価はなんと980万円もしました.

EF1200mm F5.6L USM
EF1200mm F5.6L USM

ニコン・キヤノンの二大巨頭以外だと,ペンタックスが望遠レンズに積極的です(ペンタックスはかつて望遠鏡も作っていました).レンズ専門メーカー(シグマ/タムロン/トキナー)の中だと,やはりシグマでしょうか.シグマには「SIGMA APO 200-500mm F2.8 /400-1000mm F5.6 EX DG」という15.7kgもある大砲みたいな望遠レンズが存在しています.


トキナーレンズとは少し異なりますが,ちょっと前にケンコーから2000-4000mm超望遠レンズというとんでもない望遠レンズが発売されていました.


ただ,このレンズ,ちゃんとした?4000mmレンズではなく,あくまで『実用上、かなり撮影条件は難しくなりますが、プラスαの機能として2,000mm〜4,000mmの超ズーム撮影もできるタイプ』というご丁寧な言い訳つきのお遊びレンズです.


と,こうして現状の望遠レンズを見ると,最長の焦点距離は800〜1000mmくらいなようですが(ペンタックスの800mmレンズは67用なので35mm換算にするとこれより短くなりますが),世界に目を向けるとまだまだ長い焦点距離のレンズがあります.


それがこの,ハッセルブラッド用のカールツァイス製1700mm超望遠レンズです.


Zeiss STL Sonnar T* 4/1700
Zeiss STL Sonnar T* 4/1700

写真から見て分かる通り,ものすごく大きなレンズです.右端についているハッセルブラッドのカメラ本体がおもちゃのようです.ただ,このレンズに関する日本語の情報がほとんどないので残念ながら詳細は不明です・・・.


ちなみに,望遠レンズは焦点距離が長いのでどうしても本体が長くなりますが,「ミラーレンズ」(反射望遠レンズ,レフレックスレンズとも)だと,本体を短くすることができます.ミラーレンズはレンズ内にミラーを設け,入射光を反射させて焦点距離をかせぐ構造になっているため,焦点距離の割にサイズをコンパクトできます(ただし開放F値は暗めです).

歴史を探ってゆくと,ミラーレンズだと2000mm級のかなり長い焦点距離のレンズが存在しています.例えばこれです.


ニコン
Reflex-Nikkor・C 2000mm f11
  • Nikon レフレックスニッコール2000mmF11
  • 重量:17500g
  • 定価:90万円(価格改定あり)
  • こちらのサイトに写真多数あり
ペンタックス

Mレフレックス2000mmF13.5

  • PENTAX Mレフレックス2000mmF13.5
  • 重量:8000g
  • 定価:96万6000円

ニコンのレフレックスニッコール2000mmF11は重量が17.5kgもあり,持ち運ぶのも一苦労です.これはもう交換レンズというより,むしろ「カメラが交換できるレンズ」と表現したほうが正しいかもしれません.



しかし!! もっと詳しく調べてゆくと,あのキヤノンにかつて途方もなく巨大なミラーレンズが存在していたという情報をキャッチしました.


そのレンズがこれです.

CANON MIRROR LENS 5200mm 1:14

このレンズ,焦点距離がなんと5200mmもあります.重量は100kgもあり,持ち運びはまったく不可能です.このレンズに関しても日本語の情報はほとんどないのですが,怪しげな英語の資料は存在しています.

画像クリックで拡大します

これによると,このレンズの焦点距離は正確には5150mmで,重量はスタンド抜きで100kgであると記載されています.またライカ判(24×36mm)をカバーしており,ベローズによりフォーカスを調整,ビルトイン型のNDフィルターで露出制御,最小撮影距離は120mと,確かにカメラ用のレンズであることが分かります.資料中の写真を見ても巨大なレンズの端にカメラが取り付けられています.このカメラの大きさからしてもこのレンズがいかに巨大であるかが分かります.


こんなレンズが本当に存在するのか?と思ってさらに詳しく調べてゆくと,なんとYouTubeに動画があることが分かりました.


どうやらこのレンズ,eBayに出品されたことがあるようで,そのときには4万5000ドルの値がついたようです(参考サイト).



というわけで今回の調査の結果,最大の焦点距離を持つレンズはキヤノンの5200mmミラーレンズであるということがわかりました.




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