カメラアーカイブス一眼レフって何?ミラーレスの魅力とは??カメラには「写真を撮る」機能だけではなく,道具として「持つ喜び」もあります.カメラアーカイブスではカメラを購入する前に知っておきたい基本知識を紹介しながら,『カメラの魅力』をお伝えしています.

感度と画質の違い



低感度ほど高画質


フィルムでもデジタルでも「感度」というものが存在します.フィルムであればISO感度50とか400とか,フィルムごとに異なります.デジタルであればカメラの設定をいじることで感度が変更できます.

高感度になるとより早いシャッターが切れますし,より絞りを絞ることができます(被写界深度が稼げます).例えば,ISO感度100でF5.6・1/60が適正露出だった場合から感度を4倍のISO400にすると,F5.6・1/250が適正露出となりシャッター速度を4倍にすることができます.シャッター速度を1/60で変えない場合は絞りを2段絞ってF11にすることができます.

このように,感度が高ければ撮影の幅が広がるわけですが,「じゃあ高感度であればあるほどよいか?」というとそうではありません.基本的に画質は感度が上がればあがるほど劣化してしまうのです.フィルムであれば粒子が粗くなり,デジタルであればノイズが増えてしまいます.「粒子感」を表現したい場合は敢えて高感度フィルムをさらに増感して使用したりもしますが,基本的には感度はできるだけ上げたくないところです.

常用感度はISO100〜400くらいです.フィルムでもISO100やISO400のタイプが多いです.一昔前は常用感度は「ISO100」でしたが,技術の向上もあって最近では「ISO400」が標準とされることも多いです.


代表的なフィルム

▼富士フイルムの代表的リバーサルフィルム


フィルムと実効感度


フィルムの感度はフィルムごとにISO100とかISO400などが決まっていますが,必ずしもその感度で撮影する必要はありません.特に黒白フィルムの場合は,フィルムの現像時間を延長することで「ISO400」のフィルムでも「ISO1600相当」などで使用することができます.これを「増感」と呼びますが,このときの「ISO1600相当」の感度を「実効感度(EI)」(exposure index)と言います.この場合,フィルムの感度はISO400でもカメラの感度設定は「1600」に合わせます.

粒状性は現像時間が長くなればなるほど悪化します.つまりフィルムは増感すればするほど画質が悪化します.そこで逆に「減感」することで画質の向上を狙う場合もあります.例えばISO100のフィルムをEI50で使用し,現像時間を短縮することで高画質化を狙うという方法もあります.


露出補正の活用


カメラにはフィルム・デジタル問わず,「露出補正」という機能があります.これはカメラの露出計が示す適正露出よりも露光量を多くしたり少なくしたりする機能です.例えば適正露出に対して「+1EV」の露出補正をすると,露光量は2倍になります.

露出補正は画面全体に白い部分が多い場合,黒い部分が多い場合によく利用されます.例えば雪山のような画面全体が真っ白になるような被写体ををオートで撮影すると,露出不足(アンダー)になる傾向があります.これは白色の反射率が高いために,カメラの露出計が露出を控えめにしようとするからです.この場合は露出補正をかけて+2EVなどで撮影するとうまく白色を表現できるというわけです.逆に影などの黒い部分が多い場合はカメラは露出量を増やそうとするので,オートで撮影すると露出過多(オーバー)になります.黒を黒らしく表現するためには−1EVなどを利用します.

なお,一眼レフを中心に多くのカメラには「オートブラケット機能」があります.これは1回の撮影で自動的に「-1/3EV」「0」「+1/3EV」のように連続して撮影する機能です.フィルムカメラの場合は,オ−トブラケットを使うとフィルム消費量が増えてしまいますが,デジタルであればすぐに液晶で確認して不要なカットは消去することができるので積極的に活用したいところです.


露出はオーバー目が良い?


写真は適正露出で撮影されることが最も好ましいですが,実際には露出オーバーかアンダーで撮ってしまうことが多いです.では適正露出からオーバーの写真と,アンダーの写真では,どちらのほうが適正露出の写真に近いでしょうか?

答えは「露出オーバーの写真」です.特にネガフィルムの場合はかなりオーバー目の写真でも,適正露出の場合とほぼ変わらないプリントを得る事ができます.逆にアンダーの写真を適正露出の写真に近づけるのは無理があり,クオリティ低下は避けられません.このような適正画像が得られる露出の幅のことを「ラティチュード」と言います.ネガフィルムはラティチュードが広い(特にオーバー側)のですが,リバーサルフィルム(ポジフィルム)はラティチュードが狭い(特にアンダーには非常に弱い)ため,ネガフィルムより露出にはシビアになる必要があります.

なお,デジタルカメラもネガフィルムよりはラティチュードが狭いので,特にフィルムからデジタルに乗り換える方は,「ネガ感覚」ではなく「リバーサルフィルム感覚」で撮影する必要があります.ちなみにデジタルカメラの場合,ラティチュードのことを「ダイナミックレンジ」と呼ぶことが多いです.



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